僕は忘れない、あの日のことを

140字では伝えられない。

雑記(マルドゥック・アノニマス二巻までの内容を含む)

記事を書くのだいたい一ヶ月ぶりなんですよね。本当は9月の三連休あたりで長崎へ旅行いく予定だったので、それに合わせてちょっとした旅行記みたいなのを書こうと思っていたのですよ。ところがふぁっきん台風によって延期を余儀なくされてしまい、一回このタイミングで書こうと思ってたのがふいになったせいか、ちょっとやる気が失せていました。10月7日から今度こそ旅行予定なのですが、またしてもふぁっきん台風がやってきましたね。しかもめっちゃでかくない? 905hPaって何。今年多いですよね、台風一家。(意図的な誤字)

 

どうでも良い話なのですが、キーボードを買い換えました。なんか前のキーボードは勝手に特定のキーが連打されるようになってしまい、キーボードの掃除からドライバの再インストールまで色々やったのですが、直りませんでした。買い換えてからPC前で妙にテンションが上がっており、今日もここまでで400字弱とたいへん絶好調です。いつもは1000字を超えるとだいたい力尽きるんですけどね。お金を使うと気分が高揚する。やはり散財は神。ついでにマウスも換えました。

 

 

まあこの一ヶ月の間全くの虚無だったわけではなくて、宮内悠介とか今読んでる『戦争は女の顔をしていない』とか、まあちょくちょく本を読んでいました。でも映画はシン・ゴジラが最後。世間では君の名はとか聲の形とか色々やってるのですが、どうにもね。なんだろうね。

 

というか、まだ全然序盤のアレクシエーヴィチはともかく、宮内悠介の『盤上の夜』とかは私の趣味関心的にも本当はブログで感想をがっつり書けよという感じなんでしょうが、上記の通りいまいちやる気がなかったのと、なんか適切な表現が全く思い浮かばなかったのですよね。これは『ヨハネスブルグの天使たち』もそう。自分の中では絵画の感想を書くのが難しいのと同じようなイメージです。わかってくれ。北方謙三『楊令伝』的に言うと

岳飛は、めぐるましく動く、崔如の指を見ていた。赤だが、濃淡のある三枚の紙が、実に巧みに組み合わされ、見事な花が、崔如の手の中でできあがる。それを見事としか言えない自分の無骨さが、岳飛には情けなかった。きちんと言い表せる、きれいな言葉が、ほんとうはあるはずだった。

これです。

 

 

さて九月に読んだ本といえばマルドゥック・アノニマス二巻ですよ。というかこれ絶対三巻じゃ終わらないですね。元の構想らしい全八巻構成だと現在の登場人物の九割以上は死んでそう。

 

マルドゥック・アノニマス二巻、主人公はウフコックなんですけど、物語を動かすのは徹底してアウトロー集団である「クインテット」とそのリーダーである「ハンター」です。ウフコックはただ観察者であり、イースターズ・オフィスの面々もそう。

 

作中ではハンターとウフコックが似たような能力を持つことが何度も描かれます。共感能力を用いて相手を安心させるウフコック、相手の心を確実に損なうハンター。自身の分身を作り出して情報を収集する潜入手法。どちらも同じように能力が使えるが、その使用方法に違いが生まれるのは「濫用」の有無、ただ一つでしょう。これは良心と言い換えても良い。ウフコックがハンターに共感を示すようになっていくのは、一巻で言われているように、ウフコックがウフコック自身を濫用しているから、ということなのでしょうね。ということは、ウフコックはこれからもハンターに入れ込んでいってしまうと予想しちゃうわけで、ガス室へ向かう心境というのは最後の良心という感じがして今からとても辛いものがありますね。

 

そういえばもう一組これは対比された存在ではないかなと思うものがあって、それが「ホスピタル」とルーン・バロットです。バロットを連想させる黒髪と黒い瞳で、ただ無表情でうつろな「ホスピタル」。僕はこれは「イースターとウフコックに出会わなかったバロット」じゃないかなあと読んでいます。

 

選択するんだ――生存の選択。その権利は君にある。……

君は生き延びた。復讐でも人生のやり直しでも何でもできる。金もたっぷりある……というか、これから作るんだ。どう、わかるかな?

君は一人でもあそこから出ていける。君には検診もメンテナンスも必要ない。君は二度とこのゲームに関わることなく、自分だけの世界を築いて暮らしていけるだろう。必要とあらばその能力で、大いに稼ぐことも出来るに違いない。

 

ホスピタルは結局ハンターについていくことになります。イースターズオフィスに従うバロットそっくり、ホスピタルがハンターに強い共感を抱くところもバロットとウフコックの関係そっくりです。

 

ただ一つ違うところは、まさに良心の存在であり、濫用するかしないか、という一点です。バロットも『スクランブル』で過ちを犯したけれど、そこから立ち直り能力を完全に自制し、そして自立していきます。ハンターはその能力を利用(濫用)するために、ホスピタルが自立することは許さないでしょう。ということで、ホスピタルはこのあと自分の能力を「濫用」するようになるのではないかな、と踏んでいて、バトルが増えそうな三巻(以降)では、バロットと対峙するシーンもあるのではないかなという勝手読みをしています。これ当たったら褒めて。

 

そんな感じです。はやく三巻を出してくれ。