僕は忘れない、あの日のことを

140字では伝えられない。

表現の結晶 感情の奔流◆花譜 不可解 感想

皆さん見ました!!!???

ぼくはライブビューイングで見たんですけど!

花譜ちゃんのライブヤバすぎじゃなかったですか ? 映画じゃんあんなの。ズルだよ。

エンドロールでellroyandblueって表記みたときに泣いたよね。

そんなわけで感想です。アーカイブはないのでどこに向けた文章なのか書いててわからなくなってきたんですが、備忘録なのでセーフです。

あと二時間花譜に曝露し続けたため感情に押し流されて記憶が飛んでいるところもありますが、ご了承ください。(備忘録とは?)

 

 

最初に簡単に説明しておくと、花譜は現在15歳のバーチャルシンガーです。親の意向とか種々の事情で顔を出せない女の子が、歌うためにバーチャル受肉していると理解していただければ大丈夫。GReeeeNとかClariSとかそういうアレです。花譜の場合はバーチャル化しているわけです。

 

花譜は声質がとても特徴的で、それが魅力と言われていて(聞いたほうが早いぞ)(花譜 - YouTube)、まあ実際にそれはそうなのですが、ぼくが一番の魅力だと思うところはやはり表現力です。言葉に感情を乗せる能力が異常なほど強くて、感傷マゾ如きなら一撃で殺せる能力があります。


花譜 #21 「過去を喰らう」-予告編-【オリジナルMV】

これは歌詞を音読してるわけなんですが、語りにこれだけ情感あるのはちょっと凄いと思いません? 感情を強烈に込めるのは花譜の大きな魅力です。

 

一方で普通に話すととてもあどけないのがもうひとつの特徴で、歌うと格好良いのに話すとめちゃくちゃかわいい。これもライブにおいて重要な要素です。でした。


花譜 #18 「花學」

これは高校入学後の動画(※花譜はリアルの姿を出せない高校生がVR化した存在なので、多くのVのものと違って我々と同じ時間軸で成長する)です。勉強で笑っちゃうのが学生っぽくてたいへん良い。

 

さて不可解ですが、最初に歌がばーんとくるかと思ったら詩の朗読から入るんですよ。

で、詩の最後に

バーチャルとリアルの繋ぎ目から いまここにいるよ ここにいる いるよ

ときて、そこからいきなり『糸』に入るんですね。ここにいるよ、の力強さでもう死んでいるわけです。完璧な導入でしたね。


花譜 #06 「糸」 【オリジナルMV】

 

『糸』が終わるとちょっと挨拶してすぐ『忘れてしまえ』→『雛鳥』→『心臓と絡繰』と既存のオリジナル曲が連続してきて、超ハイペースでびっくりしましたね。ライブまでに公開されていたオリジナル曲、7曲ですからね。半数歌っちゃうのは驚きました。いや、盛り上がりましたが……。あと『心臓と絡繰』に入るときに現地からこれだよこれぇ! って叫び声が聞こえてきて笑いました。劇場も笑いで包まれました。なんだったんだろうなあいつ。

 

そういえば結局、ペースを落とさずに2時間で20曲近く歌ったんですよね。情報の過多でオタクは容易に死ぬ弱い生き物であることを考慮してほしい。

 

それから新曲が二曲。『エリカ』と『未確認少女進行形』。このあたりで気づき始めたんですが透過スクリーンに歌詞を映して歌詞が浮いている感じがとても良い。『エリカ』は書き文字演出でめちゃ芸術的でした。

『未確認少女進行形』は歌詞にハローハローってところがあるんですが、そこで花譜ちゃが手を振るのがもうありえないくらいかわいかった。歌うとき動き少ない系かと思ったら意外と踊るんだな……となりました。一瞬場内にぱっとライトが灯るのが印象的でしたね。曲もかわいかったから一刻も早くもう一度見たい。どちゃクソかわいい(はず)MVも見てみたい。

 

次にカバー曲、リーガルリリー『うつくしいひと』、崎山蒼志『五月雨』、大森靖子『死神』です。この辺MCがこれまためちゃくちゃかわいいんですよね。「リーガルリリーの沼にはまった」「15歳、五月雨作ったの13歳と聞いて人生何週目なんだろうと思った」とか。「このお三方は……お三方?」とか。話しなれてない感じでもうとにかく愛らしいんですよ。ギャップがありすぎる。娘にほしい。

あとこれは花譜からはちょっと離れたところですが、『五月雨』のギターがめちょ格好良かったです。

 

『死神』は超強烈で、本当に泣きそうになりました。


大森靖子「死神」Music Video

原曲聞いたほうが早いんですが、サビ以外語りっぽいんですね。この語りのような曲に花譜の歌い方がマッチしてて、本当に感情が爆発していました。15歳でこの歌にあれだけの感情をこめられるのは異常。花譜ちゃも人生三週くらいしてないか。もう一度聞かせてくれ……頼む……

 

前々からそうなんですが、ぼくは音楽詳しくないし花譜とは年齢もだいぶ違うから花譜がカバーする「わたしがすきなうた」はほとんど知らないんですが、全部聞けるんですよね。いわゆるうたってみた、だいたい知ってる歌をどんな風に歌うんかなと思ってちょっと聞くくらいなものなんですが、花譜は全部聞いちゃうんですよ。自分のものにしているという感じがするからかな。花譜はガチなんです(?)

 

その次は『祭壇』と『魔女』。この二つはバーチャルユーチューバーという文化に向けた曲といった感じで、曲が始まる前のMCで自分はこの文化がなかったらデビューしていなかったから、みんなに捧げたい旨のことを言っていてとても尊かったです。あと『祭壇』から『魔女』の繋ぎ方がえげつなく格好良かったですね。

 

そのあとは『quiz』『夜が降り止む前に』なんですが、この辺記憶が飛んでますね。『夜が降り止む前』には大沼パセリRemixで花譜ちゃんがめっちゃノリノリで踊っていて愛おしすぎた記憶があります。あと最後にボウ・アンド・スクレープっぽい仕草で締めるのがかわいかった。

お前花譜がかわいいことしか覚えてなくないか? と我ながら思いましたがわりと事実なので仕方ないですね。

 

この次はトークで「ロックな曲です」と言うからてっきり『過去を喰らう』だと思ったんですが、新曲『夜行バスにて』の奇襲を受けて圧倒されました。新曲多すぎない??? ってなりました。曲はこの曲本当にロック? ロックなのか?? と思ってたらサビでドンときてとても良かったです。

『夜行バスにて』が終わった後、バンドメンバーの紹介がはじまって、一人ずつ紹介されるたびに答える代わりに楽器を演奏するんですが、紹介されるたびに音が一つずつ増えていって、四人全員が演奏を始めたところで『過去を喰らう』のイントロにつながるという! 全体に曲の繋ぎが完璧すぎる……

あと過去を喰らうは最後に花譜ちゃんがくるくる回るのなんだったの。かわいさで殺す気か?

 

で、アンコール……は当然準備されていて(公開するといってた新衣装出てなかったしね)、何か歌から入るかなと思ったんですが、ボイスドラマ「御伽噺」から。最初はレスポンスしたり騒いでいたオタクくんちゃんたちがどんどん静かになっていって、そこから東京ゲゲゲイ『神様』に繋がるんですが、ここはもう完全に観客静まり返っていて、曲が終わってから拍手するだけでした。場の支配力がすごい。

 

フリートークをはさんでカンザキイオリ『命に嫌われている』。ここ、重厚に進行するところだと思うんですが、トークはやっぱりかわいかったですね。「君って語彙力ないんだね」と御伽噺で言っておきながら、花譜ちゃがカンザキイオリさんを賞賛する言葉が「すごい」と「神」の二つだけだったの面白すぎました。カンザキイオリ限界オタクじゃん。

しかしやはり歌に入ると雰囲気が一変して、本当にすごい。何度も驚かされますね。最後の「生きろ」というフレーズが少し掠れた声とあいまってとても切実な感じで感動しました。

 

 

そしてついに新衣装のお披露目。見たいですよね? の反応にちょっと気圧されていた花譜ちゃんはやはりかわいすぎた。オタクたち圧が強いもんね……高校生には怖いよね……ごめんな……

らぷらす(フードのさかな)に食べられて衣装が変わるというのは『過去を喰らう』のMVでもやってるんですが、何度見ても良いですね。


花譜 #22 「過去を喰らう」 【オリジナルMV】

スクリーンがたぶん三つあって、背景・花譜ちゃ・歌詞を映す透過スクリーンという構成で、これをうまく活用しているなと思いました。

衣装はねー、かわいいです。動くとかわいくなる。花譜ちゃんが大げさ……ってちょっと照れてるの良かったですね。はい。

 

そして今回のライブテーマでもある新曲『不可解』。語りがあるのが『死神』にも通じていて、やはりここの感情のこめ方がすごい。花譜がフードをかぶっているときはいつ脱ぐかが重要なところで、今か今かと待ち構えていたら本当に最後の最後でカタルシスが凄かったですね。


花譜 #03

フードについてはたとえばこれです。

 

最後は『そして花になる』。

集大成でほかの曲のメロディや歌詞がふっと織り込まれているのが良い。それから、サビの「あなたが知らなくたってどうでもよかった でもあなたがいるから私は私になれる」って歌詞が素晴らしいですね。「普通の人」である女の子は「花譜」でなくても歌うことに変わりはないんだけど、みんなが観測するからその女の子は「花譜」になるのだと。このライブに相応しい曲だったんじゃないでしょうか。

 

そしてまるで映画のようなエンドロール。100人を超えるスタッフ、4000人以上の出資者が一人の女の子をステージに上げるために動いていたのだなあと感慨深く思いました。そしてそこに自分の名前があるから超感動しますね!

 

歌唱の圧倒的な格好良さ、ポエトリーリーディングの泣きたくなるほど切実な感じ。垢抜けた演出、ライブ全体で一つの映像作品かのような完成された構成。一方でそれらとはまるで反対の花譜自身の溢れんばかりの愛嬌。一見すると相反する要素が組み合わされているようでいて、しかしそれ全部が花譜という存在を作り上げている。色々な要素を見事に組み上げて、一面的でない、複雑で不確かな存在を表現させたこのライブ・作品はまさに不可解なのだな、と。

 

でも色々な花譜(ちゃん)をこれでもかとぶつけられて感情の奔流でオタクは殺されましたね。死です。

 

きょうからあしたのせかいをかえるよ

とはライブの概要欄の一文。変わる世界をこれからも観ていきたいなと思いました。おわり。

 

 

花と心臓

花と心臓

 
夜が降り止む前に

夜が降り止む前に

 

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