名前のない、綺麗なもの(五島旅行)
実は放置ブログではないらしいですね。
10/8-10/10で五島列島に行って来たので、感想を書いていこうかなと思います。
ちなみに二日目はすごい雨でした。悲しみ。
◆はじめに
五島は北から中通・若松(この二つを中心とする地域を主に上五島といいます)・奈留・久賀・福江の主に五つの島と本当にたくさんの島からなる諸島です。
今回行ったのは、主に福江島と中通島。中通から橋で繋がっている若松島と頭ヶ島にも行きました。初日に福江島、二日目に中通島の南、奈良尾に上陸して若松島を見つつ北上、三日目に頭ヶ島周辺を見て、有川(中通の中心部)-佐世保の船に乗って帰宅という感じです。
島は全体にリアス式海岸で、しかも福江の中心部を除けばほぼ山でめっちゃうねうねしてて運転が大変そうでした。いや、ぼくは運転してないです(ごみ)
◆五島の暮らし
世界文化遺産の長崎天草の潜伏キリシタン関連遺産群の構成要素となっているとおり、隠れキリシタンが弾圧を避けて共同体を存続維持する試みが行われた地域です。信徒発見以降、多くの教会が作られていて、本当にたくさんの教会を見ました。まずはその話。
これは完全な余談ですが、天草の崎津に行ったときは世界遺産ではなかったんですよね。なんか感慨深いものがあります。いや五島では野崎も久賀も奈留も行ってないから12の構成資産の大半はまだ見てないんですけどね。
※信仰を持たない身なので、着目点が完全におかしかったりしていますが、大目に見ていただけたらなと思います。
福江で行ったのはまず井持浦教会。
日本最古のルルドとして知られる教会です。ルルドについてはぼくも詳しくないのでwikipediaを見てください()
造られたルルドの洞窟。ちなみに今は奥に蛇口があります。そうなんだ……
実は教会の入り口に水質検査の結果が貼ってあって、飲用できるようになっていました。あとで違うルルドも見たのですが、そこでは飲用する際は必ず煮沸してくださいと注意喚起されていたので、この辺の信仰と現実の折り合いがちょっと面白いなと思いました。
あとマタイから引用された教会入口の言葉がめっちゃ良かった。歓迎にもソースがある。
福江では堂崎天主堂にも行きました。
映えだ。ここは五島で最初にできた教会で、後にレンガ造りで作り直され、今の形になりました。中は今は資料館になっています。
撮影は禁止ですが、幕末-明治期に宗教教材として宣教師が長崎の版画師に制作させた「最後の審判」の版画が良かったです。何が良いかというと、この版画に描かれている悪魔はどう見ても日本の地獄の鬼の造形なんですよね。神は神っぽい姿なんですけど。当時の日本人が思う悪魔の姿、なんか和洋折衷といった感じで、珍しいなと。
上五島では桐教会、土井ノ浦教会、鯛ノ浦教会、青砂ヶ浦天主堂、冷水教会、大曾教会、頭ヶ島天主堂と多くの教会を見ました。青方教会という大きな教会にも行ったんですが、ここの駐車場でご飯の予約をしてる間に入る時間なくなってそのまま出ました。カスムーブだ。ごめんね。
まず桐教会。あとで載せるのですが、この教会から見える景色が本当に最強だったので、教会自体の印象は完全に飛びました。悲しい。
若松島にある土井ノ浦教会(写真下手くそ選手権)
観光ツアーかな? の人々と一緒になって、案内のおじさんが解説していました。でも教区の話でちょっと難しかった。おれはよわい。
隣に資料館が併設されていますが、ツアーの人がそのために開けたのかわからなくて日和って入るのやめました。おれはよわい。
ちなみに南には、弾圧を避けて洞窟に避難をはかったというキリシタン洞窟があるのですが、現在も陸路は繋がっておらず(!)船から行くしかないです。なんという秘境。
旧鯛ノ浦教会。
旧鯛ノ浦教会と現在の鯛ノ浦教会。
旧鯛ノ浦教会は鐘楼の一部に被爆した浦上天主堂の煉瓦が使われているそう。現在は資料館と教会学校の教室として利用されているらしいです。ハリーポッターの一巻とかコナンの漫画とかおいてました。
あと、いつのものかわかりませんが、「親子で学ぶ教会の教え」というプリントがあって、受け継がれるものがあるのだなあと思いを馳せました。ちなみに内容は、『最初の殉教者・ステファノ(殉教者の意味をおかあさんからききましょう!)』みたいな感じです。ステファノの方を初めて聞きました。
青砂ヶ浦天主堂。五島のレンガ建築の規範となった教会だそうです。そういえばたしかに五島の教会はゴシック建築が多かった気がしますね。ステンドグラスも多いし、ステンドグラス意匠は五島のお土産にも使われがち。
冷水教会。ひやみずと読みます。実は名前をあげた教会の多くを建築した鉄川与助という五島生まれの建築家がてがけた最初の教会で、建築設計技術の関係? でシンプルな作り。(どれを作ったかは調べてね)
ちなみに教会前のバス停の待合は色合いを教会に合わせていて、かわいいです。
時刻表はあんまりかわいくありません。
大曾教会。同タイミングで郵便配達が来ていて、郵便は津々浦々に届くのだなあと思いました。(教会の感想は?)
頭ヶ島天主堂。この教会を含む集落は世界文化遺産構成資産。近隣で取れる砂岩でできた天主堂で、面白いつくり。下に空いている穴は換気口らしいです。マインクラフトにある砂岩ってこういう感じの色じゃないっけとちょっと思いました。
頭ヶ島は元々無人島で、19世紀には病人の療養地として利用されていたそうです。そこに、前田儀太夫という人が開拓でこの島への移住者を募った際、仏教徒であった彼を隠れ蓑として、幕末-明治初期の弾圧を逃れて隠れキリシタンが移り住んだそうです。のちに移住した隠れキリシタンがカトリックに復帰してつくられた教会が、この教会。
そういう経緯の関係からか本当にとてつもなく行きにくい場所にあり、上五島空港(現在定期便がない空港)にいたる道から外れて下っていくのですが、全体に山道が多かった今回の旅程でも一番カーブがきつい感じでした。ヘアピンこえ~!
この周辺は、砂岩と、九州本土から弾圧を逃れた隠れキリシタンがもたらした石積み技術を組み合わせた集落景観が特徴で、これは頭ヶ島の対岸、中通島の北東にある友住地区。人が住んでいるので、写真はあんまり。(ヤマトも来てました)
路地は迷路のよう。
お城にでもなりそうな立派な石垣。人が減って家が取り壊されてるのか、ちょくちょくコンクリートの空き地がありますね。
こんな感じ。昔はこの辺も一帯石畳だったらしいです。水道とかの関係かな?
教会ではない歴史的施設というところでは、福江島では明星院というお寺にも行っていました。(時系列無視)空海が遣唐使の帰りに訪れたと言われるお寺で、命名も空海によるもの。本堂の格天井は狩野派の画家による花鳥図が描かれていますが、撮影は禁止。行って見てね。
奥が本堂。鐘が最初見つかんなくてちょっと古民家っぽいいでたちだなと思いました。
帰る前に五島で盛んだった捕鯨の歴史が紹介されている鯨賓館ミュージアムにも行きました。フェリーターミナルに併設されていて優しい。(展示は基本撮影禁止でした)
面白かったのはマッコウクジラの歯でできた将棋の駒ですね。現代のプラスチック駒に近い立ち位置なのか、嗜好品なのか。どっちなんでしょうね。後者かなあ。
あと、近現代の捕鯨で利用される、捕鯨砲で打ち出される銛も展示されていました。これはもとは尖っていたらしいですが、命中率が悪くなるということで、先端が平らになった銛に変わったらしいです。高速で発射されるからこれでも問題なく突き刺さるんだとか。尖った銛だとなんとなく猟ってこういう感じだよなというイメージがついたんですが、先端が平らの柱みたいになってる銛が突き刺さるというのはなんか想像するとかなりのグロだなという気持ちになりました。
そんな感じです。それ以外の五島の話としては、電気自動車の利用が盛んで、レンタカーにもあったり、上五島では一人乗りの電気自動車がホテルにおいてあったりもします。
充電の標識も割とたくさん見ました。
まあぼくらは普通にガソリン車に乗りましたが(なんでこの話したの?)
風力発電の発電機もたくさんありました。撮るの忘れちゃった。
これも余談ですが、教会や寺院周辺で利用したトイレがどこもきちんと整備されていて、ちゃんとしてるなと思いました。今も教会として利用されているというのもそうなんでしょうが、観光地としてしゃきっとしてる感じが好みでした。
◆五島の自然
これは本当に綺麗で、感動しました。写真多めで振り返りたい。
福江で最初に行ったのが大瀬埼灯台。ここはぼくが五島に旅行に行く際にもっとも行って見たかった場所です。福江島の一番西にあります。
これは灯台付近の展望台から。ドラクエにこういう場所ありそう(適当)
展望台の反対側の景色も雄大。
実際に灯台に行くまでは1km強ちょっとした山道を歩かないといけないので大変。ヒールの女とか革靴の男がいてマジ? ってなった。みんなはスニーカー履いてください。
野生の鹿もいました。ビビるわ。でも向こうは本当に近づくまで全然ビビらなかった。まいりました。
扉に落書きされてて悲しい気持ちになった。
灯台から来た道を振り返ってもすごい。よく歩きました。
そんな感じです。ここは車借りて本当に最初に行った場所なんですが、正直言ってここを超える光景は今回ないのではと思ってました。開始2時間で旅行終わりじゃん。
福江では鬼岳にも行きました。中心部からちょっと南にある山で、2500年前くらいに最後に活動したと言われているあんま動いてない火山。
のぺっとしています。WindowsXP 。阿蘇でもこれ言った気がしますね。
福江市街を望む。
全面草原で、広範囲にわたって草が刈られて整備されていて、広範囲をうろちょろできます。言い方
上五島では矢堅目の展望所に行きました。中通島の北側にある奈摩湾という湾の入り口にある場所で、湾の守備隊を置いたことからこの名がついたそう。矢で堅めたから矢堅目です。
夕日がきれいらしい。傘写ってますけど……。写真だと伝わりにくいですが、巨大でとてつもなく存在感があります。個人的には天気がめちゃくちゃ悪いのもあって、なんか火曜サスペンスの犯人が追い詰められてそうな感じだなと思ってました。最悪の感想だ。
降りて向こうまで近づけるっぽいのですが、なんかもう嵐の様相で滑落の恐怖を感じたのでここで帰りました。
自然を見るとして行った場所って実はこのくらいなのですが、五島はどこを見ても本当に美しくて、そういう特別な名前のない、でも好きだなと思った写真も一緒に載せていこうかなと思います。
堂崎天主堂周辺の夕景。
ここから上五島。桐教会周辺の瀬戸。今回の旅行で最も感動した光景かもしれません。海、透き通りすぎ。碧の海ってここまで綺麗になるんだな。
大曾教会の風景。
頭ヶ島の海。
そんな感じです。
◆旅行について
五島は船便が多くなくて、とにかく計画性が問われてきますね。厳しい。ぼくはほとんど関わってないんですけども。車も運転しないし、完全に人の旅行にタダ乗りのカスじゃん。hai,sumimasen.
世界遺産の構成資産、久賀、奈留は日程に余裕がないと行きにくいですし、野崎島に至っては小値賀という島に行って、そこからさらに渡らないとたどり着かないです。無人島なので。実は当初は博多からのフェリーで小値賀に行って野崎に行くというプランもあったんですが、小値賀着が午前4時45分という地獄の行程なので、断念しました。
まあそもそもこのフェリーは予約いっぱいで急遽長崎に前泊、ジェットフォイル(長崎-福江が1時間半弱)で移動というルートに変更になったんですが。(フェリーの方が安いので、良い子のみんなはフェリーを利用してください)(博多23時45分発-福江午前8時10分着で、良いです)
ツアーを利用したり、余裕があるなら海上タクシー! を使うのも手なのかもしれませんね。いっそ一日一島くらいのイメージでいけばいいのかなあ。
もう一つは食事の問題。連休中の島内の観光客に対して、飲食店が明白に不足しているので、晩御飯どっかあるやろの精神で臨んで死を見ることになりました。昼ご飯も普通にお昼しか営業しないです。いつまでもは開かない。一日目の昼は普通にローソンでパン食べてました。おしまいだよ。
(上)五島ではハコフグを食べる文化があって、ハコフグ自体を器にする「かっとっぽ」という料理があります。見た目の迫力がすごい。調べてみてね。これがめちゃ気になってて、食べてみたかったんですが、だめでした。悲しみ。いつか食べてみたい。
まあなんだかんだホテルで朝から鯛茶漬け食べたりしました。おいしい!
五島うどんも無事に食べられました。麺が本当に細い。ミスったそうめんみたい。ミスったそうめんって何? あごだしも良かったです。
◆おわりに
久賀島、奈留島、小値賀島、野崎島、福江島の北西部……行けていないところをあげるとたくさんあげられるんですが、行ったところは満喫できました。晴れてたらもっと良かった。
あとさっきも書きましたが、ガチで旅行にタダ乗りしたカスだったのでもうちょい主体性をもって旅行したいですね。
これは記事中貼るタイミングがなかったかわいい看板。
おしまい。